今まで良かったんでしょう。
多くの人が普通に体験していることを、この年齢で体験するんです。朝の通勤で「満員電車」。
ダイヤの乱れや、イベントの帰宅時など、本当にギューギューな満員電車を体験したことはありますが、通勤時のそれも朝の満員電車というのは、また違います。
基本的に、乗っている人は、ベテランなんでしょう。
それぞれの位置で、それぞれの身のこなし術を見つけているんです。
つい最近、ある意味、感動というか「師匠」と呼んでしまいそうな女性を見ました。
その人は、電車に乗り込む瞬間から目を閉じるんです。
流れに身をまかし、まるで海や川の流れに体をゆだねる「浮き」のように。
ヘラブナ釣り専用の「浮き」のようです。
ただ、まっすぐに立つように感覚を持ちつつ、目は閉じて、やや瞑想しているように口元も軽く閉じながら、微笑みを感じるように。
でも決して、誰かにもたれている感じではありません。
ある時のオッサンなんかは、どう見ても寄りかかっていると思える人もいましたが、この女性は違います。
自然に隙間ができて、その隙間にスポッと入り込み、ある安定感を持たせ、360度に満遍なく力が分散されているように、その場所を保ちます。
降りるその瞬間まででした。
同じ駅で乗り換えたんで、チラ見しながらちょっと観察してしまったんですが、ちょっと目指すべき乗り方を見た気がします。